場所をアメリカの西部から北海道に移しながら、李相日版はきわめてオリジナルに忠実であり、オリジナルへの強いリスペクトが感じられる。国は違えど、同じ年の設定で同じ物語が成立するということに、まずは驚かされる。
東京物語(1953年)→東京物語(2013年)
東京物語
小津安二郎のこの名作は、2012年夏、英国映画協会の『サイト・アンド・サウンド』誌が10年に一度行う歴代ベストワンのアンケートで、世界の監督たちが選ぶ部門で『2001年宇宙の旅』や『市民ケーン』を抜いて1位になった作品
映画全体が日本人の親子のあり方をテーマにしている
小津は、その親子のあり方について、理屈ばった表現はしていない。親たちと子どもたちとのかかわりを、なるべく淡々と流れるように描いている。
山田洋次『東京家族』
時代は3・11後の現代日本、浮かび上がるテーマは、『東京物語』と同じく「家族の崩壊」だが、ここに「希望と再生」が加わった
どんな困難に立ち向かっても、優しさと思いやりがあれば、力強く生きていける。81歳の山田洋次監督が、自身の“集大成”を意識したような渾身のメッセージが、ひしひしと伝わってきます。
1953年公開の日本映画。監督:小津安二郎、主演:笠智衆。核家族化や親子の問題、高齢化社会、夫婦の問題等が、会話主体のドキュメンタリータッチで描かれている。